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『コンタクト』が示す答えとは?未知と人間模様の壮麗な交錯

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『コンタクト』


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地球外の知的生命体と接触した女性の姿を描くSF超大作。科学と宗教、頭脳と心、ヒロインの心の成長、恋人たちの物語などさまざまな要素を盛り込んだ多面的な物語の構造が魅力。

96年に他界した宇宙科学者カール・セイガンの同名小説(邦訳・新潮文庫)に基づき、セイガンと妻アン・ドルーヤンが映画用原案を作り(共同製作も)、「フック」のジェームズ・V・ハートと「マンハッタン花物語」のマイケル・ゴールデンバーグが脚色。

監督には「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキスがあたった。製作はゼメキスと、彼のほとんどの作品に参加しているスティーヴ・スターキー、製作総指揮は「9か月」のジョーン・ブラッドショウと「素晴らしき日」のリンダ・オブスト。

撮影は「フォレスト・ガンプ」「夕べの星」のドン・バージェス、音楽は「フォレスト・ガンプ」などゼメキスとは名コンビのアラン・シルヴェストリ、美術は「キルトに綴る愛」のエド・バリュー、編集は「バードゲージ」のアーサー・シュミット、衣裳は「フォレスト・ガンプ」のジョアンナ・ジョンストン、主演は「ネル」のジョディ・フォスター

共演は「評決のとき」のマシュー・マコノヘイ、「ニクソン」のジェームズ・ウッズ、「カウガール・ブルース」のジョン・ハート、「リバー・ランズ・スルー・イット」のトム・スケリット、「TINA ティナ」のアンジェラ・バセット、「ヒート」のウィリアム・フィクナー、「ボディ・バンク」のデイヴィッド・モース、「ウェインズ・ワールド」のロブ・ロウほか。

1997年製作とは思えない考証。

技術的、映像的なそれは特段年代による域を出ないかとは思いますが、それでもあの纏まりの良さ、視点などに関しては今見ても全然廃れていないですよ。

本作、まず何が驚きかというと冒頭の数分。

接続がおかしくなったのかと思うようなノイズと映像の連鎖。

セリフ等が無いことにより、一層不可思議さを覚え、何度再生し直そうかと思ったことか。

ただしあの場面もよく見ると年代や惑星間の移動、仔細に見ればどういった物語上の描き方がされるかということがわかるような部分も。

あれは久々に見た映像的な技術論でないSF味でしたね。

そこからのカメラワークも年代を感じさせるようなフォーカシング、ぬるっとした構図ながらも現代のぬるっとさとは異なるノスタルジックさ。

流れるようなカメラワークの中、アラン・シルベストリのサウンドが一層のノスタルジーを刺激してくる。

昔のアメリカ、ホームドラマを見せられているような牧歌的な日常とあたたかさがあり、そこからスムーズにストーリーへと繋がる、説明のいらない表現がお見事。

観る前に感じていた150分という時間を感じさせないのはこうした見せ方、説明の上手さが画そのものに込められているということもあるのかもしれません。

それにしても本作のジョディ・フォスターは綺麗過ぎるし、若かりしマシュー・マコノヒーも美男子過ぎる。

ジョディ・フォスターに関しては演技も然ることながら、衣装が良かったんですよね。

Contact - Image - Image 8

Contact - Image - Image 7

調べるとジョアンナ・ジョンストンだったんですね。

シックスセンス』や『ミュンヘン』の時のスタイリングも好きでした。

滲み出るエリーの美しさ、ただどこかしら無頓着にも見えるライフスタイルが垣間見えるようなスタイリング。

このバランスとボルドーを基調とした色合わせの絶妙さ。野暮ったさをベースにしつつ、こだわりも感じるバランス感が良かった。

打って変わってのドレスシーンなどもヘアスタイリングと合わせ、ハッとさせられるギャップ感が魅力的。

Jodie Foster Dress in Movie Contact

着こなし、カラーリングは本当に好きなバランスでしたね。

さて問題のストーリーですが、これがまた興味深い人間模様とSF、地球外生命体との関係性が描かれていくわけです。

しばしば登場する科学と宗教という精神性として相容れない部分が対象的に描かれており、それがSFにおける話にインサートされているというのが実に上手い。

科学の実証性と宗教の信念というものを下敷きとしつつ、両者が絡み合っていくような現実。

証明が出来ないものは信じないとしつつも、そうではない部分も潜在的に内包しているエリー。

逆にマシュー・マコノヒー演じるパーマーは宗教学の立場を取りつつも寛容的な姿勢も備えているような人物で、これがまた良いスパイスになってくる。

それらが最後に交わるというのもどちらかではなく、どちらもという、多面性、多様性のあるべき姿が浮かんできます。

地球外生命体との接触に関してもド派手な演出というよりは、真にありそうな地味な接点から始まるところも興味深く、得てしてこういうものは地道な積み重ねから偶然にして始まるのだろうなと。

素数の使い方、音声による発見、次元というものの存在、当時の知識、技術にしては中々の納得感があるわけです。

そういえば本作にもキップ・ソーン氏が関わっているそうで、むしろ、『インターステラー』鑑賞後、あまりにも余韻があった中、その情報から本作が観たくなっての鑑賞だったんですよね。

blcrackreverse.com

どのような関わりかに関してはこちらが参考になりました。

manuke.seesaa.net

余談になりますが、セーガン氏は本作を執筆するに当たって、劇中で扱わなければならない超光速移動手段の信憑性を高めたいと感じ、物理学者のキップ・ソーン氏に考証を頼まれたそうです(あとがきにソーン氏への謝辞があります)。これに対し、ソーン氏は通行可能なワームホールを示されたとのこと。

 面白いことにキップ・ソーン氏はこの後、ワームホールが過去へ時間旅行できるタイムマシンとして使える可能性に思い至りました(『キップ・ソーンのタイムマシン』、『ワームホール型タイムマシン』と呼ばれます)。光速度不変を原理とする相対性理論の世界では、超光速はタイムトラベルと表裏一体なんですね。

SFと科学の関わりは必ずしも一方通行ではなく、SFが新たな科学的着想の発端となりうる一例かもしれません。

そうした考証もあってこの完成度だったのかと。

終盤におけるワームホールでの移動は映像的、快楽性に満ちた演出。

有り体な言い方ですが、これぞ宇宙というような映像のスリリングさから行き着いた先は・・・。

映像で見せきれない部分を込めて、「詩人を連れてくるべきだった」というエリーの内面の吐露と脳内に描くそれを考えた時、人は言葉にし難い抽象的かつ壮麗な事象にこそ説明し得ない感動を抱くのだろうなと。

そしてそれを経ての法廷シーンにおける問答。

エリーが主張してきた科学的見からすれば非を問われても仕方がない中、それでもあの経験はあったとするところに全ての真理に対する答えがあるのかもしれない。

パーマーが述べていた「95%の人々は何かを信仰している」ということはつまり、”何かを信じたいと思っているということ”。

科学にしろ宗教にしろ、個々の信念にしろ、組織間の対立にしろ、およそ何かしらの信念があるという真理は調和であり、信念の束と同義なのかもしれない。

やはり解決の糸口は異星人、同星問わず理解というものが必要なのかもしれないですね。

では。

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