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パステル舞う天空の城ホテルローヤル~相模湖編Ⅲ~

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扉を開けるとパノラマの日差しを浴びたような光景が広がる。

ギリシャの神殿を思わせる退廃と建築の美学、燦然とした光が充足した空間に冷えた空気が心地良い。

吹き抜ける空気の寒さを孕んだ天空の庭園とでも言おうか。

この高さでオープンに開かれた人工的空間というのは室内であって室内で無い、独特の解放感に満ちている。

片隅にあるのは時代の産物というべくVHSの塊。

なぜここに、こんなに大量に存在しているのか。そうした疑問はあるものの、この様自体、どこか奇妙なテクスチャを纏った雰囲気があり、なぜだか惹かれる

反対側には厨房と思しき空間が鎮座し、吹き抜けのそれが独特なオープンキッチンを連想させる。

そしてこの神殿感ですよ。

燦燦とした光が差し込み、冬の時期だからこそと思える寒々しさ、窓から望む景色の高さと怖さが共存する空間の美学。

下を覗くとこの通り。

上空にいるという異質さといびつさを感じさせるような肌感覚は、あくまでも吹き抜けになっているというこの特殊な状況からなのか。

現実と空想が交錯し、摩訶不思議な世界へ誘ってくれるという空間の魔力こそが廃墟の魅力。

そこに心霊めいた怖さや怪奇的な怖さといったものなど存在せず、ただ退廃の美学に浸るという行為があるのみ。

ここがメインとなり徐々に下界へと近づいていくわけですが、この空間の印象は兎にも角にも忘れがたい。

つづく。


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